お墓の引越しはどうすればいい?移動にかかる費用や手続きの方法を徹底解説

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近年、お墓の引越しや墓じまいという言葉を聞く機会が増えてきました。先祖代々の永きにわたって守ってきたお墓を引越すには、大変な決意が必要でしょう。相当な労力がかかりますし、少なくない費用も発生します。

では、なぜお墓を引越す必要があるのでしょうか。

「お墓が遠くてなかなかお参りに行けないから近くに移したい」というのが大きな理由の一つです。将来の事を考えて、管理費のかからない永代供養のお墓に移すという話もよく聞かれます。

あるいはお墓の跡継ぎがいないので、やむをえずお墓をたたむという結論に至った方も中にはいらっしゃるでしょう。

そういった様々な事情で、お墓の引越しや改葬・墓じまいを決心したものの「いざとなったら何から手を付けるべきなのかわからない…

そんなお悩みをお持ちの方へ、今回は後悔しないお墓の引越しに関する徹底アドバイスです。 

目次

お墓の引越しとは

お墓の引越しは、家の引越しとは事情が違います。

お墓を引越すにあたっては色々な方法があり、目的によってお墓を丸ごと移動したり、古いお墓を処分する必要が出てきたりするからです。

普通の引越しでは家そのものを動かしたり、出ていく家を取り壊したりはあまりしませんよね。お墓の引っ越しは、細かい違いはあっても、多くの場合は以下3つの方法に分けられます。

  • 石碑ごと移動する場合
  • 現在のお墓を処分し、新たなお墓を建てる場合
  • 墓石は処分せず、お骨の一部を納骨堂などへ改葬する場合

では、どの引越し方法が今の自分にとって必要なのか、またその費用はどれくらいかかるのかを、具体的に見ていきましょう。

お墓の引越しと改葬や墓じまいの違い

改葬とは、既に埋葬されているお骨を別の場所に移す事を指します。

墓石を移動するかどうかは、その意味合いには含まれません。また、改葬をする場合には役所への改葬申請が必要となります。

お骨はご遺体の一部であるため、勝手に移動させてはいけないと定められているのです。墓じまいは読んで字の如く、お墓を処分しておしまいにしてしまうという意味です。

そのお墓の中に埋葬者が眠っている場合は、お骨をそのまま放置しておくわけにはいきませんので、改葬の手続きをして、別の場所で供養してあげるようにしましょう。 

お墓の引越しの費用相場

お墓の引越しには様々な方法があり、それぞれ必要となる費用総額が大きく異なります。主に以下、3つのパターンが挙げられます。

  • 石碑ごと移動する
  • 現在の墓石を処分し新たなお墓を建てる
  • 墓石は処分せず、お骨の一部を納骨堂などへ改葬する

それぞれの費用相場と流れについて解説していきます。

石碑ごと移動する – 費用相場70万円~200万円

現在建っている石碑を解体し、新しい墓地へ運んで再びその石碑を設置する方法です。石碑に特別の思い入れがあったり、オリジナル形状でお墓を建てている場合に、この方法を選ぶ方が多く見られます。

費用相場は総額70万円~200万円ほどになります。内訳については以下の通りです。

引越し元の墓地でかかる作業とその費用の目安

作業内容費用
魂抜き(閉眼供養・抜魂法要)お布施2万円~5万円
墓石の撤去解体及びお骨上げ費用10万円~20万円
巻石・残土の処分費用(注1)5万円~10万円
離檀料(注2)3万円~20万円
石碑の運搬費用100kmあたり10万円前後

引越し先の墓地でかかる作業とその費用の目安

作業内容 費用
墓地の永代使用料(1平方メートル)20万円~40万円
石碑の持込手数料 (注3)10万円~20万円
巻石の新規作成及び据付費用15万円~30万円
石碑の据付費用10万円~15万円
建碑納骨式(建碑納骨法要)お布施3万円~5万円

各注釈に関して、下記の場合においては費用が発生しません(注1) 墓地の管理者から巻石の撤去は不要と言われた場合(注2) 特定の寺院とお付き合いがない場合(注3) 引越し先の墓地に持込手数料の規約がない場合

流れ

  1. 撤去工事を始める前に、ご住職へ魂抜きを依頼します。
  2. 石材店に墓石の撤去解体工事をしてもらいます。
    撤去後の墓地は更地に戻してきちんと整地して頂けるよう、お願いしておきましょう。
  3. 巻石は引越し先の墓地で再利用する事は難しいので、残土とともに石材店に処分して頂きます。
  4. 今までお世話になった感謝の気持ちとして、ご住職へ離檀料をお渡ししましょう。
  5. 石碑運搬専用のトラックで、石碑を引越し先まで運んでもらいます。
  6. 墓地を使うために支払う金額を、永代使用料と呼びます。お墓を運ぶ前に契約を済ませておきましょう。
  7. 墓地によってはお墓を持ち込む際に、石碑持込手数料が発生します。
  8. 墓地の広さや形状に合わせた巻石を作成し、据え付けてもらいます。
  9. 運んできた石碑を据え付けてもらいます。
  10. ご住職に建碑納骨式を依頼してお骨を納めれば、お墓の引越しは完了です。

現在の墓石を処分し新たなお墓を建てる – 費用相場100万円~200万円

引越しを機に、新しい石碑を建立するケースです。

今のお墓が古くなったので新しくしたい、または遠方すぎて運搬するのが難しい場合等は、新たに石碑を建て直します。各所に散在するお墓をひとまとめにする場合も、この方法が良いでしょう。

費用相場は100万円~200万円ほどになります。内訳については以下の通りです。

引越し元の墓地でかかる作業とその費用の目安

作業内容費用
魂抜き(閉眼供養・抜魂法要)お布施2万円~5万円
墓石の撤去解体費用10万円~20万円
軸石以外の墓石及び残土の処分費用 (注1)5万円
軸石の永代奉納費用5万円
離檀料(注2)3万円~20万円

引越し先の墓地でかかる作業とその費用の目安

作業内容費用
墓地の永代使用料(1平方メートル)20万円~40万円
巻石及び石碑の新規作成費用60万円~120万円
開眼納骨式(開眼納骨法要)お布施3万円~5万円


各注釈について、下記の場合においては費用が発生しません(注1)墓地の管理者から巻石の撤去は不要と言われた場合(注2)特定の寺院とお付き合いがない場合

流れ

  1. 撤去工事を始める前に、ご住職へ魂抜きを依頼します。石材店に墓石の撤去解体工事をしてもらいます。石碑ごと移動する場合と同じく、撤去後の墓地は更地に戻してきちんと整地して頂けるよう、お願いしておきましょう。
  2. 墓石と残土は、石材店に処分して頂きます。軸石だけは産業廃棄物として処分する事ができませんので、後述する永代奉納をしてもらう必要があります。
  3. 撤去工事を始める前に、ご住職に魂抜きをして頂きます。
  4. 撤去した軸石を安置所に永代奉納してもらいます。軸石を奉納せずに、山中へ不法投棄する石材店が最近増えてきています。奉納後の写真を送ってもらい、奉納されているかの確認をとるようにしましょう。
  5. 今までお世話になった感謝の気持ちとして、ご住職へ離檀料をお渡しします。
  6. 新たな墓地を決め、契約します。
  7. 巻石と石碑を新たに作り、据付工事をしてもらいます。
  8. ご住職に開眼納骨式を依頼してお骨を納めれば、それでお墓の引越しは完了。

墓石は処分せずお骨の一部を納骨堂などへ改葬する – 費用相場10万円~60万円

現在のお墓をきちんと管理してくれる方が現地におり、お墓はそのままにしておきたい場合は、この方法をとります。なお、全てのお骨を取り出して墓石を処分してしまう場合は、墓じまいとなります。

費用相場と費用相場は10万円~60万円ほどになります。 内訳については以下の通りです。

引越し元の墓地でかかる作業とその費用の目安

作業内容費用
魂抜き(閉眼供養・抜魂法要)お布施2万円~5万円
お骨上げ費用1万円

引越し先の墓地でかかる作業とその費用の目安

作業内容費用
納骨堂または合祀墓 契約費用3万円~50万円
開眼納骨式(開眼納骨法要)お布施3万円~5万円

流れ

  1. お骨上げをする前に、ご住職へ魂抜きを依頼します。
  2. 石材店に依頼し、お骨を取り出してもらいます。
  3. お骨を納める納骨堂や合祀墓を決め、契約します。
  4. ご住職に開眼納骨式を依頼してお骨を納めれば、改葬は完了です。

【10ステップ】 お墓を移動する手続き方法

具体的なお墓の引っ越し方法については、以下の10ステップがあります。

  1. 親族と相談をする
  2. 墓地の管理者に連絡を取る
  3. 引越し手続きの進め方を確認
  4. 改葬先を決定し「受入証明書」を貰う
  5. 自治体から「改葬許可申請書」を貰う
  6. 現在のお墓の管理者へ、「受入証明書」と「改葬許可申請書」を持っていく
  7. 役所で改葬許可証を発行してもらう
  8. 魂抜き(閉眼供養・抜魂法要)を行う
  9. 現在の墓石の処分を行ってもらう
  10. 新たなお墓に納骨をし開眼供養を行う

各項目、詳しく解説していきます。

1. 親族と相談をする

長年にわたり守ってきたお墓の場所を移すとなれば、たった一人の思い付きで実行するわけにはいきません。

  • 本当にお墓を引越す必要があるのか
  • 費用は誰が持つのか
  • いつ頃をめどにお墓を移すのか

等の問題を親族間で良く話し合ってみる必要があるでしょう。

みんなの意見を聞かず引越しを強行したばっかりに、家族内の雰囲気が険悪になってしまった…」なんて事態は避けたいですよね。

親族間での意思統一は最も重要なステップ

親族間での意思統一は、お墓の引越しを円滑に進めるための最も重要なステップと言っても過言ではありません

まずは、何故お墓の引越しを考えるに到ったかの経緯を説明。そして、みんなの意見も取り入れつつ最善の方法を見つけ、全員の合意が得られるまで時間をかけて話し合いましょう。

反対意見もよく吟味することによって、もしかしたら引越しをせずに済む妙案が出てくるかもしれません。お墓で眠っているご先祖様も、きっと気長に待ってくれているはずです

2. 墓地の管理者に連絡を取る

さて、話し合いがまとまったら墓地の管理者に連絡を取りましょう

墓地に管理事務所が併設されていればそこの管理人に、寺院墓地であればご住職に引越しの意向を相談すれば大丈夫です。

管理者が墓地に居ない場合は、墓地内の管理者連絡先看板などを確認してみましょう。もしそのような看板すら見つからない場合は、役所に問い合わせるか、地元の石材店に聞いてみると分かる場合もあります。

いずれにしても、勝手にお墓の引越しを進めると後々大きなトラブルを招きかねませんので、必ず管理者への連絡は必要です。

3. 引越し手続きの進め方を確認

次に、どのようなお墓の引越し方法を考えているかを管理者に話します。それにより手続の内容が変わりますので、正確に考えを伝えましょう。

墓石を丸ごと移設するのか、現在のお墓をたたんでお骨だけを移すのか、あるいはお骨の一部だけを取り出してお墓はそのまま存続するケースも考えられますね。

各霊園の規約にのっとって必要な手続きを教えてもらえますので、それに従って手続きの準備を進めていきます。

4. 改葬先を決定し「受入証明書」を貰う

管理者に引越しの許可を頂ける見通しが立てば、次にお骨の移動先を決定します

その際に、後の改葬許可申請を行う際に必要な受入証明書の発行をお願いする必要があります。

受入証明書を貰うためには改葬先との契約が必要になりますので、本当にここへお墓を移して大丈夫なのか、慎重に検討を重ねましょう。

5. 自治体から「改葬許可申請書」を貰う

現在のお墓がある自治体にて、改葬許可申請書を受け取ります

申請書は郵送をしてもらえたり、役所のホームページから印刷できる場合もあります。遠方にあってなかなか行く時間が取れない場合は、電話で聞いてみると現地へ行く手間が省けるかもしれません。

6. 現在のお墓の管理者へ、「受入証明書」と「改葬許可申請書」を持っていく

改葬許可申請書に申請者の氏名住所等を記入し、受入証明書とともに現在のお墓の管理者へ持っていきます

受入証明書を提出すれば、改葬許可申請書に必要事項を記入して頂けます。これで改葬許可の申請に必要な準備は、すべて整いました。

7. 役所で改葬許可証を発行してもらう

最後にもう一度役所へ向かい、必要事項が全て記されている改葬許可申請書を提出します。

内容に不備がなければ改葬許可証を発行して頂けますので、これにて無事改葬許可申請の手続きは終了です。許可がおりるまでに数日かかる場合は郵送をお願いすることで、再度役所へ足を運ぶ手間が省けます。

改葬許可証は改葬先に提出する必要があるので、それまで大事に保管しておきましょう

8. 魂抜き(閉眼供養・抜魂法要)を行う

お骨を取り出す前に、各宗派の方法に従って魂抜きをします

特定のお寺と付き合いがない場合は、管理者や石材店にお願いすれば、信頼できるお寺を紹介して頂けます。

9. 現在の墓石の処分を行ってもらう

古いお墓をたたむ場合は、石材店に墓石の解体・処分を行ってもらいます。場合によって巻石はそのまま残しても良い場合がありますが、基本的には設置物の全てを撤去し、更地に戻す必要があります。

管理者との話し合いの中で事前に確認しておき、撤去する必要のあるものは全て忘れず処分しましょう。

10. 新たなお墓に納骨をし開眼供養を行う

取り出したお骨を新たなお墓に納める事で、お墓の引越しは無事終了です。

新たなお墓で行う開眼供養・納骨式の方法や手続きは、管理者さんに確認しましょう。その際に改葬許可証が必要となりますので、忘れずにご提出下さい。

お墓の引越しに関するよくある質問

さて、これまではお墓の引越しに関する実務的な説明をしてきましたが、他にも気を付けておく点はあるのでしょうか?

ここでは、気になる点としてよく挙げられるご質問を二つ取り上げてご紹介します。

Q. 改葬をするべきではない時期などはありますか?

お墓ごとについては、様々なタブーを耳にすることがあります。

例えば、六曜における仏滅や友引にお墓を触るのは避けた方が良い、という話を聞いた事はないでしょうか。これは、仏が滅する・お墓に友を引き寄せてしまう、といった悪いことを連想してしまう為です。

しかし六曜の考えは仏教の教えとは全く別の物であり、関連性はありません。また六曜が日本で広まったのは14世紀頃とされていますので、それ以前の人々は仏滅や友引にとらわれることなく、お墓ごとにあたっていたという訳ですね。

他にも、うるう年や土用はお墓ごとを避けるという考え方も、過去には多くの地方で見られました

ですが現代においては、その考え方が重視されることは少なくなってきています。とはいっても、やはり気になってしまうところもあるのが人の心情。

心のなかに「この日は避けておきたい」という気持ちがあるなら、それを考慮して日程を組んだ方が、晴れやかな気持ちで改葬を済ませる事ができるでしょう。

また地域によっては、昔からの風習や伝統で独自に避けた方が良い時期を定めているという場合があるかもしれません。

その場合は、素直に先人の教えに耳を傾けるようにしましょう。

Q. お墓を移動させると不幸や祟りが起こると聞いたのですが本当ですか?

お墓を移すことによって、不幸が訪れることはありませんのでご安心下さい。むしろお墓の事を考えて手を尽くす行動は、仏教においては徳を積む善行とされています。

お墓とは決して幽霊や悪霊が住まう所ではなく、あなたのご先祖様が眠る場所ですので、その善行はきっと見守って頂けているはずです。

それでも心配を拭えない方は、少し立場を変えて考えてみましょう。

お墓にいらっしゃるご先祖様にとっての一番の喜びは、皆さんにお参りに来て頂く事です。なかなかお参りに行けない遠い土地から、定期的なお参りが出来る近所にお墓を移す事は、ご先祖様にとってきっと喜ばしい事でしょう。

そう考えると、祟りなんて起こるべくもないと感じることができませんか?

最後に

お墓の引越しは、人生でそう何度も体験する事ではありません。

ほとんどの方が初めての経験であり、進めていくうちにわからない事や不安が出てくることは仕方のないことです。

不安な気持ちが抑えられなければ、家族やお寺のご住職様に相談してみる。手続きでわからない事があれば管理者や役所に、その都度確認する。

自分一人で全てを背負いこまずに周りの人々と力を合わせれば、後悔のないお墓の引越しを無事終える事が出来るでしょう。

この記事を監修した人

加藤隆太
加登隆太
株式会社加登 取締役社長

慶応義塾大学経済学部卒業。卒業後、家業の墓石販売業を引き継ぐため株式会社加登へ入社。現場でのお客様との接客経験を経て、平成27年に同社取締役社長に就任。全国優良石材店の会理事・大阪支部長・ICT委員を歴任後、現在全国石製品工業組合理事として活躍中。

玉井嘉孝

玉井嘉孝

株式会社加登 統括マネージャー

西浦高校卒業。学生時代から仏教や死生観に興味があり、あらゆる本を読みあさる。卒業後、お墓業界に身を置いて30年。長年現場でお客様のお悩みを解決したのち、現在は株式会社加登の統括マネージャーとして社内研修の講師・社外でのお墓セミナー講師としても活躍中。

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